排水処理設備に使用する機器類- 現場経験50年のプロフェッショナルが考える選定ポイント

排水処理設備を導入・更新するにあたり、どのような機器が必要なのか、どう選べばよいのかは大きな課題です。この記事では、現場経験50年のプロフェッショナルが考える「排水処理設備に使用する機器類と選定ポイント」を、なるべく専門用語を避けながらお伝えします。
排水処理設備に使われる機器は、大きく分けて以下の3つに分類されます。
汎用機器
「価格と用途に応じて最適な選定を」
汎用機器とは、多くの現場で共通して使用される基本的な装置類です。具体的には以下のようなものが含まれます。
・pH計などのセンサー類:水質をリアルタイムで監視します
・流量計:排水の流れを定量的に測定します
・撹拌機:薬品や排水を均一に混ぜ合わせるために使用します
・樹脂製タンク:薬品の貯蔵や一時的な排水の保管に用いられます
・ポンプ:処理プロセス間の水移送を担います。
これらは「どこでも使える」機器ですが、用途や処理能力、設置環境によって適切な機種選定が求められます。価格面も重要ですが、長期運用を見据えた耐久性やメンテナンス性も考慮が必要です。
製作機器
「設計力と現場経験が問われるオーダーメイド機器」
製作機器は、各水処理メーカーの「腕の見せどころ」ともいえる分野です。代表的なものには以下があります。
・制御盤:排水処理の各機器を自動で制御する頭脳のような存在。メーカーのプラントに対する考え方が色濃く反映されます
・製作品:貯槽、反応槽、活性炭塔など設計図を元にオーダーメイドで製作します
これらは単なるハードウェアではなく、現場のニーズを読み取り、機能・安全性・保守性をすべて織り込んだ設計が求められます。選定段階では、メーカーの経験値や対応力も重視すべきポイントです。
特殊機器
『リサイクルや高度処理を担う「知る人ぞ知る」装置たち』
特殊機器は、たとえば排水のリサイクルシステムなどに用いられる、高度で特殊な技術を持った装置群です。これには既製品だけでなく、自社開発されるものもあります。
ただし、自社開発には「人材」「コスト」「時間」がかかります。そのため、世の中にあまり知られていないが有効な特殊機器を見つけ出し、うまく活用することも重要な選択肢です。
特殊機器は、導入する際に、装置自体の特性をよく理解することが欠かせません。必要に応じて専門家や経験豊富なパートナー企業に相談しながら進めるのが賢明です。
機器選定は「導入後の運用」まで見据える
排水処理設備に使用される機器は、単に最新で高性能なものを選べばよいというわけではありません。現場の運用体制・維持管理のしやすさ・コストバランスなどを総合的に考え、最適な機器を選ぶことが重要です。
導入を検討する企業担当者へ:発注先選びの視点
・現場経験が豊富で、実用に即した提案ができるか
・単なる製品売りではなく、運用・保守まで一貫したサポートがあるか
・自社開発や特殊機器にも精通しているか
このような視点で発注先を選ぶことで、設備導入後のトラブルを未然に防ぐことができます。
おわりに
排水処理設備は、単なる装置の寄せ集めではなく、「プロセス設計」と「現場知見」の集大成です。適切な機器の選定と、それを提案できるパートナー企業選びこそが、排水処理の成功を左右する鍵となります。
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