専門知識・解説
2025.09.18

クロム・シアンを含む排水処理における活性炭の活用方法

クロム・シアンを含む排水処理における活性炭の活用方法

水処理の現場では、COD(化学的酸素要求量)を含む排水への対応が大きな課題となります。特にめっきラインや油分を含む工程からの排水では、効率的な処理が求められます。本記事では、現場でよく用いられる活性炭によるCOD除去方法と、その際に使用する設備・機器について現場経験50年のプロフェッショナルがご紹介します。

活性炭処理の基本

活性炭で効率的にCODを除去できるかどうかは、必ず事前テストが必要です。
具体的には以下の手順で行います。

  • 排水に一定量の粉末活性炭を添加
  • ジャーテスターで規定時間攪拌
  • 残存COD濃度を測定し、活性炭の吸着量を算出
  • 等温吸着曲線を作成し、適切な活性炭の種類を選定

このテストは自社だけでなく、活性炭メーカーでも対応してくれる場合があります。

粉末活性炭を使用するケース

主な用途

  • めっきライン排水のCOD成分除去(油分などが多い)

処理方法

  • 排水処理設備の混合槽に、粉末活性炭を約3%溶解したものを添加
  • 添加量はビーカーテストで決定し、規制値以下までCODを低減
  • 活性炭の吸着効率は重量の5〜20%程度(成分によって変動)

注意点

  • 粉末は微細で飛散しやすいため、大量使用時はバキュームコンベアや自動溶解装置を導入
  • 沈殿槽(スイレイシック)、沪過機(ダイナサンドフィルター)、スラリー槽などは鉄素材だと電食が起きやすいため、SUS製の設備を使用することが望ましい

活性炭塔(粒状炭)を使用するケース

流れ

  1. 凝集沈殿槽・沪過槽で一次処理
  2. 処理水を活性炭塔に通水

特徴

  • 使用するのは粒状活性炭
  • 通水速度の目安は SV4〜10
    • 例)通水量20㎥/Hの場合
    • SV4 → 5㎥塔
    • SV10 → 2㎥塔
  • 通水量が多い場合は「2塔直列方式(メリーゴーランド方式)」を採用

飽和判定

  • 吸着能力が限界に達すると、入口と出口のCOD濃度が同じになる
  • もしくは塔の上層・中層・下層の活性炭をサンプリングして吸着量を確認

まとめ

  • 粉末活性炭:油分を含むめっき排水に有効、短期的な吸着除去に向く
  • 活性炭塔(粒状炭):処理水を安定的にろ過する用途に適する

現場では「排水の性状」「処理量」「設備の材質」を総合的に判断して、活性炭処理を設計していくことが重要です。