売上高の比較から見る、排水処理設備維持管理の重要性
                今回は、公表されている売上高をもとに、排水処理設備の維持管理、特に「スイレイシック更新」の費用と、その更新を怠った場合のリスクを比較し、維持管理の重要性をお伝えします。
金属の表面処理を行う企業5社の売上高(2024年度)
| 企業 | 売上高(円) | 
| A社 | 199,400,000,000 | 
| B社 | 48,800,000,000 | 
| C社 | 21,110,000,000 | 
| D社 | 6,350,000,000 | 
| E社 | 1,000,000,000 | 
金属の表面処理を行う企業5社の売上高(2024年度)を表にしました。数字は、各企業が公表しているものです。
「業界を代表する大手企業」から「中小メーカー」まで、売上高に幅のある5社をピックアップしました。
尚、上記売上は表面処理以外の売上も含まれておりますが、今回は合算した形で以下に比較等進めて参ります。
スイレイシック更新にかかる費用(例)
排水処理設備の規模によって変動しますが、スイレイシック1基を更新する際に発生する費用の一例は以下
- SS製 SS-30 凝集槽付(工事費込み)→ 約 4,000万円(2025年時点の物価換算)
 
売上高に対するスイレイシック更新にかかる費用の割合
| 企業 | スイレイシック更新の負担率 | 
| A社 | 0.02% | 
| B社 | 0.08% | 
| C社 | 0.2% | 
| D社 | 0.6% | 
| E社 | 4.0% | 
売上高に対するスイレイシック更新にかかる費用の割合を算出すると上の表になります。
こうしてみると、小さい負担に感じられます。
設備停止による1日あたりの売上損失
仮にスイレイシックなどの排水処理設備が劣化や漏洩、ポンプ等の作動不良で処理が適切に行えず、生産活動が止まってしまった場合の1日あたりの売上損失を算出してみます。
こちらは1年の稼働日数を250日として算出してみます。
| 企業 | 1日あたりの売上損失(円) | 
| A社 | 797,600,000 | 
| B社 | 195,200,000 | 
| C社 | 84,440,000 | 
| D社 | 25,400,000 | 
| E社 | 4,000,000 | 
A社の場合で考えてみます。売上高1,994億円に対して、スイレイシック更新負担の約4,000万円は、売上高に対する負担比率で0.02%と大きいとは言えないかと思います。一方、もし排水設備が30日間停止した場合の売上損失は約239億円と非常に大きいものになります。
それに加えて、各メーカーへ納入する部品の流通も止まることから、部品納期遅延のペナルティーもかかることも加味し、+αの損害金額が発生しまうことが予測されます。更にラインを止めてしまったことで、業界内の社会的信用も損失してしまいます。
実際の運営では、この様な損失をできる限り低減若しくは予防するため、停止した場合に備えて在庫品を持つことや、外注メーカーに部品を振り分けたり部品供給が滞らないようにしていくかことが大切になります。
維持管理を怠るリスクと予防の重要性
このように、排水処理設備のトラブルが発生すると、生産活動の停止による損失だけでなく、企業全体の経営に深刻な影響を与える可能性があります。
「いつ止まるか分からない」という不安を抱えながら操業を続けるのは、大きなリスクです。したがって、予防保全の観点から計画的にメンテナンスを行うことが安定した生産の鍵となります。
予防する上で極端な話をしてしまえば、排水処理設備を2つ持つことができれば安心して運用は可能ですが、その様なスペース確保等は非常に困難ですが、ポンプや装置単品等を予備として持つことは可能かと思います。
排水処理に使用している様々な機器や装置はどうしても納期が長いものも存在します。急な故障に、急遽すぐ納品をご希望される場合もありますが、物理的に難しいものもあり、手配している期間は処理が不完全になってしまう場合もあります。
計画的なメンテナンスだけでなく、機器類の予備品を持って頂くことも設備維持管理の上でも非常に重要なポイントです。
「排水設備は利益を生まない」は誤解
「排水設備は利益を生まないから後回しにしてしまう」という声をよく聞きます。
確かに直接利益は生みませんが、排水処理が正常に機能しなければ、そもそも生産を続けることができません。法令上も、排水基準を満たさなければ操業停止となる場合があります。
つまり、排水設備は**「利益を生まない設備」ではなく、「利益を生むための土台」**なのです。
安定操業のために
弊社では、企業様の排水処理設備が安心・安全に稼働できるよう、設備の点検・更新・改善提案を通じて継続的にサポートいたします。
排水設備の安定稼働こそ、企業の安定経営につながります。
維持管理・更新のご相談やお見積もりは、こちらからお気軽にお問い合わせください。
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