タンク配置・構造は水処理プラントの要。安全性・耐久性・メンテ性を左右する重要設計ポイント
水処理プラントの設計において、タンクの配置計画と構造設計は、設備の安定運転・耐久性・安全性に大きな影響を与える重要要素です。
原水槽・薬品槽・反応槽・スラッジ槽など、タンクひとつひとつには明確な役割があり、配置や内部構造を適切に設計することで、処理効率やメンテナンス性も大きく変わります。
この記事では、水処理設備におけるタンクの役割、仕様、内部構造のポイントを整理してわかりやすく解説します。
タンクの役割
・水処理設備で使用されるタンクには、それぞれ異なる目的と機能があります。
・原水槽:処理前の廃液を貯水し、液質を均一化する槽
・薬品槽:処理に使用する薬品を貯めておく槽
・反応槽:薬品注入などを行い排水処理をする槽
・放流槽:処理後の排水を最終確認する槽
・スラッジ槽:排水処理で発生した有害物質(スラッジ)を脱水機へ送る前に貯留する槽
それぞれの工程で必要な機能が異なるため、用途に応じた材質・形状・内部構造が求められます。
タンク仕様
タンクの仕様は、使用環境や処理方式に応じて選定します。主な要素は以下の通りです。
構造形式
・円筒形
・角形
材質
・PE(ポリエチレン)
・SUS304 / SUS316
・FRP
・コンクリート
扱う薬品、耐食性、コスト、施工性などを総合的に判断して選定します。
耐荷重設計
満水時の荷重を考慮し、基礎設計と併せて検討することが必須です。
タンク自体の強度だけでなく、設置場所の床強度・基礎構造なども総合して設計します。
内部構造
オーバーフロー構造
液を自重によって自然流下させる仕組み。
プラント全体の設備配置・配管高さの整合性を取りながら高さを設定します。
高さ設計を誤ると水処理が正常に行えなくなるため、反応槽や最終中和槽・放流槽で特に重要です。
仕切り板
主にオーバーフローを安定させるための内部仕切りで、タンク内の液を十分に混合させる役割があります。
タンクには以下のような機器も取り付きます。
・攪拌機
・pH計・ORP電極
・液面計
これらの配置やメンテナンス性も考慮してタンク内部を設計することが重要です。
タンク設計は「役割の理解」×「配置」×「構造」が鍵
水処理プラントにおけるタンクの設計は、単なる容器の設計ではなく、プラント全体の処理性能と安定運転を左右する重要工程です。
・各タンクの役割を理解して適切に仕様を選定する
・オーバーフローや仕切り板など内部構造を最適化する
・配置・高さ・基礎強度などを含めて総合的に検討する
これらを確実に押さえることで、安全で効率的な水処理システムの構築が可能になります。
必要であれば、図解化・工程別のレイアウト案・設備構成の例示など、より実務に寄せた形にも調整できますので声をかけてください!