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2026.03.19
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水処理で使われるポンプの種類|用途別の特徴と選定のポイント

水処理で使われるポンプの種類|用途別の特徴と選定のポイント

水処理プラントにおいてポンプは、液体を移送したり循環させたりするための重要な装置です。原水の取水から最終処理水の送水まで、プラント内のあらゆる工程でポンプが活躍しています。

ポンプには用途や流体特性に応じて多様な種類があり、それぞれに独自の特徴と適用範囲があります。処理性能の最適化とトラブルの防止のためには、適正なポンプの選定が欠かせません。

そこで今回は、株式会社スイレイが水処理設備で使用する主なポンプの種類と特徴、そして選定・設置時の重要な留意点について詳しく解説いたします。

水処理プラントにおけるポンプの役割

水処理の工程は、沈殿・ろ過・活性炭処理・薬品処理・脱水など、複数のユニットを組み合わせて構成されます。各ユニット間で水を移送したり、槽内の液を循環させたりするのがポンプの仕事です。ポンプが適切に機能することで、各工程が設計通りの条件(流量、滞留時間、混合状態など)を保ちやすくなります。

また、ポンプは単に水を動かすだけではありません。それぞれの工程では、扱う液体の性質が大きく異なります。清澄な水もあれば、固形物を含む濁水、腐食性の高い薬品、粘度の高いスラリーなど、多様な流体を適切に扱う、重要な役割を担っています。

スイレイが水処理設備で使用する主なポンプ

ここからは、実務でよく登場する代表的なポンプを、3種類取ご紹介します。

1. 渦巻ポンプ

【構造】

渦巻ポンプは、羽根車(インペラ)を高速回転させることで液体に遠心力を与え、これを圧力エネルギーに変換して送水する仕組みのポンプです。羽根車から送り出された液体は、渦巻状のケーシング内で徐々に減速しながら圧力を高めていきます。遠心力を利用した「遠心ポンプ」のひとつであり、水処理の現場で非常に一般的な方式です。

【特徴】

渦巻ポンプの大きな特徴は、大容量の液体を送れることです。原水・清水・処理水の送水など、比較的さらさらした液体を安定して移送する用途に適しています。また、構造が比較的シンプルで、メンテナンスも簡単という利点があります。

材質もさまざまで、鋳鉄製、ステンレス製、樹脂ライニング仕様など、扱う水質や腐食性の程度に合わせて選びやすい点も強みです。原水の取水、清水の送水、処理水の圧送など、水処理プラントの多くの場面で採用されています。

2. ダイヤフラムポンプ

【構造】

ダイヤフラムポンプは、弾性膜(ダイヤフラム)を機械的または空気圧で往復運動させることにより、液体を吸引・吐出する容積式ポンプです。回転で連続的に送水する渦巻ポンプとは方式が異なり、膜の動きで一定量を押し出すように移送します。

液体が接触するのはダイヤフラムとポンプ本体の内面のみで、駆動部とは完全に隔離されているため、外部への液体漏洩のリスクが非常に低い構造となっています。

【特徴】

ダイヤフラムポンプの最大の特徴は、ポンプ本体に付属しているダイヤルを調整することにより流量が調整できて、漏洩リスクが極めて少ないという点です。シール部分から液体が漏れ出す心配がほとんどなく、腐食性・粘性液体にも対応可能で、薬品注入時に適しています。

また、粘性の高い液体や、固形物を含むスラリー状の液体にも対応できる柔軟性があります。水処理プラントでは、凝集剤や pH 調整剤などの薬品注入ポンプとして広く使用されています。

さらに、脱水工程において、粘度の高いスラリーを脱水機に圧送する際にも、ダイヤフラムポンプが活躍します。固形物を含む高粘度液体を確実に移送できる能力は、他のポンプタイプにはないメリットです。

3. マグネットポンプ

【構造】

マグネットポンプは、回転軸を磁力で駆動させる画期的な構造を持つポンプです。モーター側の磁石とポンプ側の磁石が、隔壁を挟んで磁気結合しており、機械的な軸封部(シール部)を介さずに回転力を伝えます。

液体を完全に密閉された空間に封じ込めることができ、従来型のポンプで必要だったシール部分が不要になります。

【特徴】

マグネットポンプの最大の特徴は、完全密閉構造(シールレス構造)であることです。回転軸が外部に貫通しておらず、シール部分からの液漏れが発生しません。完全密閉構造と接液面の液種により材質を選定できるので、酸・アルカリ・薬品など、腐食性の高い液を送液するのに適しています。

水処理設備では次亜塩素酸ナトリウム、硫酸、苛性ソーダなどの強い腐食性を持つ薬品を扱う場面があり、漏洩対策や安全性の観点が非常に重要です。マグネットポンプは、万が一の液漏れによる作業環境の汚染や、設備の腐食を防ぐことができるため、安全性と信頼性が高いのです。

また、シール部分の定期的な交換やメンテナンスが不要となり、ライフサイクルコストの削減にも貢献します。

ポンプは他にも多様な種類がある

ここまで3種類を紹介しましたが、水処理設備で使われるポンプはこれだけではありません。流体の性状、求める流量、運転パターン(連続か断続か)、設備の設置スペース、配管の取り回しなどにより、適した方式は変わります。一例をご紹介します。

・スクリューポンプ:螺旋状のスクリューを回転させて液体を押し上げる方式で、大量の水を比較的低い揚程で移送する場合に適しています。下水処理場や排水処理施設でよく見られます。

・水中ポンプ:モーターとポンプが一体化され、液中に沈めて使用するタイプで、集水槽や排水槽からの揚水に使用されます。設置スペースが少なくて済み、呼び水も不要という利点があります。

・エアリフトポンプ:圧縮空気を利用して液体及び固体を揚水する方式で、可動部が少なくメンテナンスフリーに近い運用が可能です。当社では砂濾過器のダイナサンドフィルターで使用しています。

用途に応じて、これらのポンプを組み合わせることで、最適な水処理システムを構築できます。

ポンプ選定・設置の留意点

ポンプを選ぶ際は、用途に合う方式を選ぶことが重要です。その性能を最大限に発揮させ、長期的に安定した運転を実現するためには、適切な選定と設置が不可欠です。

流量・揚程・流体性状・耐食性の検討

まず基本となるのが、流量と揚程です。必要な処理量を支える流量が確保できるか、配管抵抗や高低差を踏まえた揚程が足りるかは、ポンプ仕様の根幹です。

これらの揚程は、プラントの処理能力や配管レイアウトから算出されますが、将来の増設や運転条件の変動も考慮に入れて、適切な余裕を持たせることが重要です。

加えて水処理では、流体性状の把握が重要です。清水に近いのか、薬品なのか、粘性が高いのか、固形分を含むのかで、適する方式は変わります。特に腐食性液体を扱う場合は、ポンプ本体、羽根車、ケーシング、配管など、液体と接触するすべての部分について材質の検討も必要です。ここが甘いと、短期間で性能劣化や漏れに結びつき、トラブルの原因になります。

設置時の配管検討

設置面では配管検討が重要です。特に注意したいのがキャビテーションの防止です。キャビテーションとは、ポンプ内部で液体の圧力変動により気泡が発生する物理現象で、周囲に強い衝撃を与えてしまうことで、破裂などが発生し騒音や振動、さらにはポンプ内部の損傷を引き起こす現象です。

これを防ぐためには、吸込側の配管抵抗を極力小さくし、十分な吸込水頭を確保することが必要です。

そのため、吸込側の条件や配管径、配管の取り回しは、仕様選定とセットで考える必要があります。最適な配管径の選定や、吸込条件の確保は、ポンプ単体の性能だけでは解決できない「設備全体の設計」そのものです。

振動・騒音の考慮

ポンプは回転機器であるため、振動・騒音も無視できません。振動が大きいと配管や据付部に負担がかかり、長期的にはトラブルの要因になります。騒音は作業環境に影響し、設備の配置計画や防音対策が必要になる場合もあります。

防振ゴムやスプリングマウントなどの防振装置を使用したり、ポンプと配管の接続部にフレキシブルジョイントを設けたりすることが一般的です。また、騒音についても、作業環境や周辺環境への配慮から、必要に応じて防音対策を講じます。

メンテナンススペースの考慮

ポンプは運転し続ける設備である以上、メンテナンスが前提です。点検・交換作業がしやすいスペースが確保されていないと、作業の安全性が下がり、停止時間が増えたり、整備品質が落ちたりします。

具体的には、ポンプの分解・組立作業に必要なスペース、配管の取り外しスペース、部品交換のための搬入経路などを考慮します。特に大型のポンプでは、重量物を吊り上げるためのホイストやクレーンの使用も想定した設計が必要です。

設置場所の確保や周辺機器との干渉回避など、運用まで見据えた配置計画が求められます。

まとめ

水処理プラントにおいてポンプは、移送・循環という基礎を担う重要な装置です。用途や流体特性に応じて適した方式があり、渦巻ポンプの汎用性、ダイヤフラムポンプの漏洩対策と定量性、マグネットポンプの完全密閉性など、それぞれの特徴を理解し、用途に最適なタイプを選択することが重要です。

正確な仕様選定と適切な据付は、個々のポンプの性能を引き出すだけでなく、プラント全体の安定運転と効率的な運用に直結します。流量・揚程の適切な設定、キャビテーション対策、振動・騒音への配慮、そしてメンテナンス性の確保といった多角的な視点からの検討が求められます。

株式会社スイレイでは、長年の水処理設備設計・施工の経験を活かし、お客様のプラントに最適なポンプシステムのご提案から、設置工事、試運転調整、アフターメンテナンスまで、トータルにサポートいたします。

ポンプの選定や設置に関するご相談、既設ポンプの更新や能力増強のご検討など、どのようなことでもお気軽にお問い合わせください。豊富な実績と専門知識を持つスタッフが、最適なソリューションをご提案いたします。