純水とは?製造方法と水資源の大切さを徹底解説
私たちの生活や産業活動に欠かせない「水」。その中でも、高度に精製された「純水」は、半導体製造、医薬品製造、精密機器洗浄など、さまざまな分野で重要な役割を果たしています。
一方で、水は私たちの暮らしを支える欠かせない資源であり、世界では水不足が深刻化しています。日本は水に恵まれているといわれるものの、使える水の量やインフラの課題など、決して「当たり前にあるもの」とは言い切れません。
今回は、純水の性質と製造方法について詳しく解説するとともに、私たちの暮らしを支える水資源の大切さと、世界・日本における水問題の現状についてもご紹介します。
純水とは?定義と特徴
純水とは、「不純物が少なく、高純度に精製された水」のことを指します。一般的に塩類や有機物などがほとんどすべて除去された状態の水をいい、不純物を取り除く方法により、以下のような呼び方があります。
・蒸留水:水蒸気を冷やして液体にした水
・脱塩水:イオン交換樹脂などにより塩類を除去した水
・RO水:逆浸透膜を通した水
実は、純水には厳密な定義がありません。一般的には電気抵抗率として 1 MΩ・cm 程度の水を純水と呼んでいます。
不純物が少ないほど電気が流れにくくなり、電気抵抗率が高くなります。この電気抵抗率は、純水の純度を示す重要な指標として広く用いられています。
純水の製造方法
純水の製造方法にはいくつかの種類があり、目的とする純度や原水の状態、コストや運用条件などに合わせて選びます。一般的な製造方法として、主に以下の4つが挙げられます。
1.蒸留
蒸留は、水を加熱して蒸発させ、発生した水蒸気を冷却・凝縮させて純水を得る方法です。原理がシンプルで、揮発(高沸点物質)をしない不純物(ミネラルや塩類など)を効果的に除去できます。
一方で、揮発する有機物(低沸点物質)などは蒸留水側へ含まれるので蒸留水として使用はできません。
2.イオン交換
イオン交換は、イオン交換樹脂を充填したカラムや塔に水を通すことで、水中の陽イオン(カルシウム、マグネシウムなど)や陰イオン(塩素、硫酸など)を、樹脂が持つ水素イオンや水酸化物イオンと置き換える方法です。非常に高い純度の水を効率よく得ることができます。
イオン交換設備は、比較的コンパクトな設備で運用可能ですから、工業用純水製造において広く採用されている方法の一つです。ただし、樹脂は使用とともに吸着能力が低下するため、純度が低下したら、再生処理が必要となります。
3.逆浸透(ぎゃくしんとう:RO膜)
逆浸透は、半透膜(逆浸透膜、RO膜)に圧力をかけて原水を通すことで、水分子だけを透過させ、不純物(イオン化した成分など)を膜の向こう側に残して除去する方法です。
初期の処理段階としてよく用いられ、イオン交換や電気透析の前処理としても有効です。近年では、RO膜の性能向上により、より幅広い用途で採用されています。海水淡水化にも応用可能です。
4.電気透析(でんきとうせき)
電気透析は、イオン交換膜と直流電圧を流し、カチオン膜・アニオン膜を交互にセットした設備にイオン化した不純物を電気的に移動させて除去する方法です。主に海水の淡水化や、比較的高い塩分濃度の水の脱塩に用いられます。
イオンを電気の力で分離するため高濃度の塩分を含む水の処理に特に効果を発揮します。必要な水質や設備条件に応じて、ROやイオン交換などと比較しながら適用を検討します。
純水の製造法は目的に応じて組み合わせて使う
上記の方法は、単独で使われることもあれば、組み合わせて使われることもあります。たとえば、逆浸透(RO)処理後にイオン交換処理を行うなど、前処理と仕上げを役割分担させることで、目的とする純度に応じた純水を製造します。
純水づくりは「どの方法が正解」というよりも、「どの水質を、どの安定性で、どの運用条件でつくりたいか」で設計が変わります。原水の状態は地域や季節でも変わるため、必要な純度に対して余裕のある設計にすること、そして運用しながら水質を管理できる状態をつくることが大切です。
水の大切さ
水は、私たちの生命維持から社会生活、そして地球環境に至るまで、あらゆる面で不可欠な存在です。しかし世界では多くの人々が水不足に直面しており、決して無限の資源ではありません。
ここで改めて、水が私たちの暮らしにどう関わっているのか、そして水資源にはどのような課題があるのかを整理します。
社会生活における水の大切さ
水は私たちの生活を豊かにし、社会を支える基盤となっています。
【生活用水】
炊事、洗濯、入浴、トイレなど、家庭で一人が1日に平均220リットルもの水を使っています。これは、浴槽約1杯分に相当する量です。
具体的な用途別の使用量は以下の通りです。
・風呂:43%
・トイレ:20%
・洗濯:16%
・炊事:15%
・その他:6%
(参考:「水の上手な使い方」(東京都水道局 令和3年度一般家庭水使用目的別実態調査)https://www.waterworks.metro.tokyo.lg.jp/kurashi/shiyou/jouzu)
日常的に当たり前のように使えているからこそ、止まったときの影響はとても大きいものです。
【産業・農業用水】
米や野菜を育てるための農業用水や、工場での工業用水としても大量に使われています。水を多く使う産業としては、衣料品、食品、製紙などが挙げられます。
産業の現場では、用途に応じて求められる水質が異なります。たとえば洗浄や製造工程で不純物が影響する場合、純水や脱塩水のような「水質を整えた水」が必要になることがあります。安定した水質は、製品の安定にも直結するため、水は社会を動かす見えない土台でもあります。
世界・日本における水の現状と課題
世界では現在、約40億人が水不足に悩まされており、20億人以上が安全に管理された水を使用できていないといわれています。地球温暖化による異常気象や人口増加により、この問題はさらに深刻化すると予測されています。
一方で日本は降水量が多いものの、実は「水ストレス」が高い(水資源に対する需要の割合が高い)国の一つに分類されています。水資源の確保や、設備の老朽化といった課題も存在します。水が豊かな国というイメージがあるからこそ、課題が見えにくい面もあるかもしれません。
ここでは、日本の水資源がどのような状況にあるのかを紹介します。
上水道普及率はほぼ100%
日本は、上水道普及率が約98%、下水道も約80%が普及しており、国土のほぼ全域にわたって清潔な水を気軽に利用できる環境が整っています。蛇口をひねれば水が出るという状態は、世界的に見ても当たり前ではありません。
水には恵まれているが、課題もある
日本は降雨・降雪量が多く、森林面積も広いため、世界的には水資源に恵まれています。ただし地形が山脈などで傾斜が急でけわしく、河川が短い特徴があります。また降雨が梅雨や台風などで一時期に集中するため、多くが水資源として利用されないまま、海に流出してしまうこともあります。
このように「降る量」と「使える量」は必ずしも一致しません。水を貯める、運ぶ、きれいにして使うという一連の仕組みがあって初めて、私たちの生活は成り立っています。
水の消費量が多い
日本は国の面積に対して人口(約1億2千万人)が多いため、年間降水量を一人当たりに換算すると世界平均の約4分の1になります。その一方で、日本人が使用する生活用水は一日あたり220リットル。世界で2番目に多いとされています。
水は無限の資源ではありません。日々の生活の中で節水を意識することが大切です。歯磨きや洗顔、入浴の際に水を出しっぱなしにしない。水を大切に使う意識を家族や友人と共有する。水問題への理解を深める。こうした小さな行動の積み重ねが、結果として水資源の保全につながります。
私たちにできる水の節約と保全
8月1日は「水の日」、8月1~7日は「水の週間」です。水資源の有限性、水の貴重さ及び水資源開発の重要性について国民の関心を高め、理解を深めるため、昭和52年に定められました。
水不足問題の緩和に向けて、私たち一人ひとりが日常生活の中で意識し、対策を行っていくことが重要と考えます。こうした意識が水資源を守り、持続可能な未来へつながっていくのではないでしょうか。
そして、産業の現場でも「必要な水質を、必要な量だけ、無理なく確保する」ことが求められています。純水というテーマは、単に水をきれいにする技術の話にとどまらず、水を賢く使い続けるための選択肢の一つともいえます。
まとめ
純水は、現代の産業や医療、研究開発において欠かせない重要な資源です。蒸留法、イオン交換法、逆浸透法、電気透析法など、さまざまな製造方法を組み合わせることで、用途に応じた高純度の水が製造されています。
一方、私たちの生活を支える水資源は決して無限ではありません。世界では40億人が水不足に直面し、日本でも一人当たりの水資源量は世界平均を下回っています。
日常生活での節水、水を汚さない配慮、そして水問題への理解を深めることが、持続可能な水利用の第一歩となります。私たち一人ひとりの行動が、未来の水資源を守ることにつながります。
株式会社スイレイでは、純水製造装置の設計・施工から、水処理設備全般まで、豊富な実績と専門知識でお客様をサポートいたします。水処理に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。