ろ過設備のろ材交換はいつ必要?交換手順と、 ろ材リサイクルで環境負荷を下げる方法
ろ過設備は、日々のメンテナンスが非常に大切です。しかし、どれほど丁寧にメンテナンスを行っていても、ろ過砂や活性炭といったろ材は、いわば「消耗品」です。
使い続ければ必ずろ過能力に限界が訪れます。ろ過がうまく効かなくなると、処理水の水質が安定しづらくなり、放流基準の維持が難しくなる恐れがあります。
そうなる前に重要なのが、計画的な「ろ材交換」です。そのタイミングをいかに見極め、計画的に対処できるかが、設備管理担当者にとっての大きな課題となります。
そこで今回は、ろ材交換の基本的な流れ、交換の目安(推奨周期)、そして近年スイレイで提案しているろ材リサイクルの取り組みについてご紹介します。
ろ材はなぜ交換が必要なのか
ろ過設備は、処理水を安定して放流するための重要な工程のひとつです。日々のメンテナンスを継続していると「当面は大丈夫」と感じやすいのですが、ろ材そのものが消耗品である点は変わりません。
いずれのろ材も、長期間にわたって使用し続けると、捕捉・吸着できる容量がいずれ飽和状態に近づきます。逆洗などの洗浄操作によって一定程度の回復は見込めますが、それにも限界があります。ろ過能力が低下した状態で運転を継続すると、放流水の水質基準を満たせなくなるリスクが生じます。
ろ材が劣化・消耗すると、ろ過性能が落ち、処理水の水質がぶれやすくなります。特に、原水の性状や負荷量、通水量の変化がある現場では、ろ材の消耗が想定より早く進むこともあります。
適切な時期にろ材を交換することで、設備本来のろ過性能を取り戻し、安定した処理水質を維持することができます。
「日常のメンテナンスをしているから交換は不要」ということではなく、「日常のメンテナンスをしていても、交換が必要になるタイミングがある」という前提で、交換計画まで含めて管理していくことが大切です。
ろ材交換のタイミングで急に状況が悪化しやすくなることがある
ろ過設備は、性能が少しずつ低下していくケースもありますが、現場では「ある日を境に急に悪くなった」と感じられることも少なくありません。
よくギリギリまで使用されているユーザー様もいらっしゃいます。しかし、ろ過設備に関しては、一度悪化傾向が見られると、その後一気に状況が悪化する恐れがあります。結果として、水質を保てなくなってしまうことがあり、放流する処理水の安定性に影響が出ます。
そのため、悪くなってから焦って対処するのではなく、あらかじめ交換周期を定め、計画的に余裕をもって交換することをおすすめします。交換計画を立てておけば、工程の停止や作業調整も組み込みやすく、突発対応のリスクを下げられます。
ろ材交換の基本手順|除去・清掃・投入・復旧までの流れ
ろ材交換は、基本的に古いろ材の除去から新規ろ材の投入、そして復旧・洗浄を経て通常運転へ戻す流れになります。作業そのものは設備条件により変動しますが、一般的なプロセスは次のとおりです。
ステップ1:ろ材を吸引して除去する
ろ材交換は、バキューム等にて内部のろ材を吸引して除去します。ろ材は粒状で量も多いため、吸引方式で回収するのが基本です。
ステップ2:内部清掃と、設備内部の状態確認
ろ材を除去した後、内部を清掃していきます。普段は内部の状況を確認しにくいため、このタイミングは点検としても重要です。
具体的には、ストレーナーの破損や変形の有無、槽内壁の劣化・腐食状況、配管や接続部のゆるみ・漏れなどを確認します。早期に異常を発見できれば、大規模な修繕を未然に防ぐことにもつながります。
ステップ3:新規ろ材の投入と復旧作業
清掃・点検が完了したら、新規のろ材を投入していきます。その後、復旧作業として水張りを行い、簡単な初期洗浄(初期逆洗)を実施します。ろ材内の微細なダストや初期汚れを除去した上で、通常通りの通水運転へと移行します。
推奨するろ材交換周期の目安
ろ材交換の適切なタイミングは、通水量や負荷量、原水の性状などによって変わります。とはいえ、計画の基準がないと先延ばしになりやすいため、目安となる推奨周期を持っておくことが重要です。
スイレイでは、一般的な推奨として以下の交換周期を目安にしています。
【推奨交換周期の目安】
・砂ろ過:2~5年に1回
・活性炭:1~2年に1回
砂ろ過は比較的長期使用が可能ですが、負荷条件によっては早まる場合があります。活性炭は吸着能力に限界があるため、砂ろ過より短いスパンでの交換を想定する必要があります。
「まだ使えそうだからもう少し様子を見よう」という判断をされるお客様も少なくありません。コスト面を考えれば当然の心理です。
しかし、ろ過設備はひとたび性能が低下し始めると、そこから一気に状況が悪化するケースが多いのです。水質が悪化してから緊急対応をしようとしても、工事の手配や材料の調達に時間がかかり、その間も基準を満たせない処理水を抱えることになりかねません。
スイレイでは、「まだ大丈夫」という段階で計画的に交換を行うことを強くおすすめしています。交換周期をあらかじめ設備管理計画に組み込んでおくことで、コストも工程も余裕を持ってコントロールすることができます。
撤去ろ材は「産業廃棄物」だけではない|再生・再利用という選択肢
従来、吸引して回収したろ材は産業廃棄物として処分するのが一般的でした。この場合、処分費が発生することに加え、処分に伴う環境負荷も避けられません。
こうした課題に対応するべく、スイレイでは協力会社と連携し、回収したろ材を洗浄・再生処理して再利用できる仕組みを整えました。
回収されたろ材は専門の処理施設で洗浄・分別・品質確認が行われ、再生品として、そのまま再度利用できるようになりました。ろ材は「捨てる」だけでなく、「再生して活かす」方向へシフトできる可能性があります。
ろ材リサイクルのメリット|費用低減と環境負荷低減を両立
ろ材の再生・再利用には、主に次のようなメリットがあります。
メリット1:処分費が基本的にかからなくなる
産業廃棄物として処分する場合に発生していた処分費が、再生・回収の枠組みによって基本的に不要となります。現場の維持管理コストを見直す上で、分かりやすいメリットです。
メリット2:環境負荷低減の取り組みとしてアピールできる
廃棄物を減らし、資源を循環させることは、SDGsや脱炭素社会への対応が求められる現代において、企業活動の中で積極的にアピールできる取り組みです。環境報告書やCSRレポートへの記載事項としても活用いただけます。
メリット3:新規購入よりリーズナブルになりやすい
再生品を使用するため、新規で購入するよりも費用としてはリーズナブルとなり、結果的に費用低減もかないます。交換周期ごとのトータルコストを抑えながら、設備の性能を維持することができます。
まとめ
ろ過設備のろ材は消耗品であり、日々のメンテナンスを丁寧に行っていても、いずれ交換が必要になります。砂ろ過は2~5年、活性炭は1~2年をひとつの目安としましょう。悪化してから慌てて対応するのではなく、交換周期を定めて計画的に実施することが重要です。
さらに、スイレイが提案するろ材リサイクルの仕組みを活用することで、コスト面での負担を軽減しながら、環境への配慮という付加価値も同時に実現できます。
放流する処理水の水質安定化のために、ろ過設備の適切なメンテナンスと運用の継続を、ぜひご検討ください。ご興味のある方は、お気軽にスイレイまでお問い合わせください。