専門知識・解説
2026.10.26
NEW

重機災害を防ぐ|クレーン転倒事故を防止する安全管理のポイント

重機災害を防ぐ|クレーン転倒事故を防止する安全管理のポイント

建設現場ではさまざまな重機が使用されています。これらの重機は作業効率を大きく向上させる一方で、一歩間違えれば重大な労働災害につながる危険性を持っています。

重機災害の多くは、「周囲を確認しなかった」「誘導員との連携不足」「地盤状況を確認しなかった」など、基本的な安全確認が不十分であったことが原因です。

特に近年では、ラフタークレーンやクレーン車の転倒事故も発生しており、荷の落下や機械の横転による重大災害が社会問題となっています。建設機械による災害は建設業の三大災害のひとつに数えられており、業界全体で対策の強化が求められている分野でもあります。

事故は「特殊な現場」で起こるものではありません。毎日行っている作業の中で、安全確認を怠った瞬間に発生します。

そこで今回は、重機災害が起こる主な原因とクレーン転倒事故を防ぐための対策を整理するとともに、水処理設備の据え付け工事における重機管理についてもご紹介します。

重機災害が発生する主な原因

重機による事故は、次のような状況で発生することが多く見られます。

・重機の旋回範囲へ立ち入ってしまう
・バック時の死角で接触する
・誘導員との合図が統一されていない
・作業半径内へ不用意に近づく
・地盤の強度を確認せずに作業を開始する
・定格荷重を超える吊り荷作業を行う

「運転手が見ているだろう」「少しだけだから大丈夫」という思い込みは非常に危険です。重機には必ず死角があり、運転席から見えない場所が存在することを忘れてはいけません。

実際に運転席に座って周囲を確認してみると、サイドミラー越しにも見えない範囲が想像以上に広いことに気づかされます。「相手がよけてくれるだろう」という考えは通用しないという前提に立ち、重機の周囲では常に距離を保つ意識が必要です。

近年では、重機の旋回範囲に人が近づくと、警報を出したり自動で動作を止めたりするセンサーや、死角を映すカメラを導入する現場も増えており、人の注意力だけに頼らない対策も広がりつつあります。

なお、重機の運転や玉掛け作業には、機種や吊り上げ荷重に応じた運転免許や技能講習の修了が法律で義務付けられています。

無資格での操作や作業は重大な法令違反であると同時に、事故のリスクを大きく高める行為です。作業前には、現場に入る作業員一人ひとりの資格を確認する体制を整えておくことも欠かせません。

あわせて、法令上、一定の作業では誘導員の配置も義務付けられており、重機の運転者と誘導員の間で合図の方法をあらかじめ統一しておくことも、接触事故を防ぐうえで重要なポイントです。

※参考:https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001599313.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001599313.pdf

レッカー(ラフタークレーン)転倒事故を防ぐために

クレーン車の転倒事故は、一度発生すると周囲を巻き込む重大災害となる恐れがあります。その多くは、設置場所や作業方法に問題があります。

1.地盤の強度を必ず確認する

見た目には問題がない地面でも、埋戻し箇所や雨で軟弱になった場所では、アウトリガーが沈下してクレーンが転倒する危険があります。作業前には必ず地盤の状態を確認し、必要に応じて鉄板や敷板を使用して荷重を分散させましょう。

事前調査の結果は、作業計画書として書面に残し、現場の作業員全員に周知しておくことも重要です。

あわせて、作業計画を立てる段階でリスクアセスメントを実施し、想定される危険とその対策をあらかじめ整理しておくことも有効です。

2.アウトリガーを確実に設置する

アウトリガーはクレーンの安定性を確保する最も重要な装置です。

・指定された幅まで十分に張り出す
・敷板を正しく設置する
・浮きや沈下がないか確認する
・作業中も沈下していないか定期的に確認する

「少しだけだから」と十分に張り出さずに作業を行うことは、大変危険です。作業開始時だけでなく、作業中も繰り返し状態を確認する習慣が、転倒事故の防止につながります。

3.定格荷重を守る

荷物の重量を正確に把握せずに吊り上げると、転倒やワイヤーロープの破断につながる恐れがあります。

作業半径が大きくなるほど吊り上げ可能な重量は小さくなります。作業計画を確認し、定格荷重を絶対に超えないようにしましょう。

水処理設備の据え付け工事にも通じる、重機管理の重要性

ここまでご紹介した重機災害の防止策は、建設現場に限った話ではありません。水処理設備の新設・更新工事においても、大型のタンクや機器をクレーンで吊り上げて据え付ける場面が数多くあります。

タンク据え付けにも当てはまる3つの基本

水処理設備に使用されるタンクは、内容量によっては大型かつ重量のあるものが多く、据え付けの際にはクレーンによる吊り上げ作業が欠かせません。

こうした作業では、今回ご紹介した、
・地盤の強度確認
・アウトリガーの確実な設置
・定格荷重の遵守
といったポイントが、そのままタンク据え付け工事の安全管理にも当てはまります。

特に、既存の設備が稼働している敷地内での工事となる場合、限られたスペースの中でクレーンの作業半径や旋回範囲を確保する必要があり、周囲の設備や配管との接触にも十分な注意が求められます。

地盤についても、新設現場のように整地された土地ばかりとは限らず、既存の配管やピットが埋設された場所での作業となるケースもあり、より慎重な事前確認が必要になります。

事前準備と協力企業との連携

スイレイでは、タンクを製作する製缶会社や据え付け会社など、経験豊富な協力企業と連携しながら施工を進める体制を整えています。

据え付け工事にあたっては、事前に現地調査を行い、設置場所の地盤や搬入経路、周囲の設備との位置関係を確認したうえで、作業計画を立てることを大切にしているのです。

こうした事前準備の積み重ねが、重機作業を含む施工全体の安全性を高めることにつながっていると考えています。

据え付け会社との打ち合わせでは、使用するクレーンの機種や設置位置、アウトリガーの張り出し幅なども含めて事前にすり合わせを行い、当日になって「スペースが足りない」といった想定外の事態が起きないよう備えています。

また、稼働中の施設内で工事を行う場合には、既存設備の運転を止めることなく安全に作業を進める必要があるケースも少なくありません。限られたスペースと時間の中で、重機作業のリスクを最小限に抑えながら確実に据え付けを完了させるには、現場ごとの状況を踏まえた綿密な計画と、協力企業を含めた関係者間の連携が欠かせません。

稼働中の設備が近くにある現場では、クレーンのブームが接触するリスクや、振動が既存の配管に与える影響なども踏まえたうえで、作業手順や重機の配置を検討する必要があります。

まとめ

重機災害の多くは、旋回範囲への立ち入りや地盤確認の不足など、基本的な安全確認の不十分さから発生します。特にクレーンの転倒事故を防ぐためには、地盤の強度確認、アウトリガーの確実な設置、定格荷重の遵守という3つのポイントを徹底することが重要です。

これは水処理設備の据え付け工事においても同様です。大型のタンクや機器を扱う施工現場だからこそ、重機作業の安全管理を徹底し、事前の現地調査と作業計画にもとづいた施工を行うことが求められます。

水処理設備の新設・更新をご検討の際は、こうした施工段階の安全管理も含めて、ぜひスイレイへご相談ください。