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2026.10.26
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排水処理のスケール対策とは?主な種類と発生メカニズム、予防・除去の方法を解説

排水処理のスケール対策とは?主な種類と発生メカニズム、予防・除去の方法を解説

排水処理設備を長く使っていると、配管の内側や熱交換器、ろ過膜の表面に、白っぽく硬い付着物がこびりついていることがあります。これが「スケール」です。最初はわずかな付着でも、放っておくと少しずつ成長し、やがて処理能力の低下や配管の閉塞、さらには設備の停止といった大きなトラブルにつながります。

今回は、排水処理でスケールが問題になる理由から、主なスケールの種類と発生のしくみ、予防のための対策、付着してしまった場合の除去方法までを順を追って解説します。

排水処理でスケールが問題になる理由

スケールは、水処理設備のトラブルの中でも、気づいたときには進行していることが多い厄介な存在です。まずはスケールとは何か、そしてどのような問題を引き起こすのかを確認しておきましょう。

スケールとは何か

スケールとは、水に溶けているカルシウムやマグネシウム、シリカなどの成分が結晶となって析出(せきしゅつ)し、配管や機器の表面に固着したものです。身近な例でいえば、やかんの底や浴室の蛇口まわりにつく白い汚れも、スケールの一種です。

水に溶ける成分の量には限界があり、これを溶解度といいます。温度やpHが変化したり、水が濃縮されたりして溶解度を超えると、溶けきれなくなった成分が結晶として現れます。

排水処理の現場では、薬品の注入や加熱、膜による濃縮など、溶解度を変化させる工程が多いため、スケールが発生しやすい環境にあるといえます。

圧力損失の増大から設備停止まで、スケールが引き起こすトラブル

スケールが配管の内側に付着すると、水の通り道が狭くなり、流れにくくなります。これにより圧力損失が大きくなり、ポンプに余計な負荷がかかるようになります。

熱交換器では熱が伝わりにくくなり、加熱や冷却の効率が落ちます。ろ過膜の表面に付着すれば、透過する水の量が減り、処理能力そのものが低下します。

スケールがさらに成長すると、配管が完全にふさがってしまうこともあります。そうなれば水処理設備を止めて洗浄や部品交換を行わなければならず、場合によっては生産ラインの停止にもつながりかねません。

スケールは、設備の性能だけでなく、事業そのものの安定にかかわる問題なのです。

水のリサイクル(クローズド化)でスケールリスクが高まっている

近年、多くの工場で、使った水を処理して再利用する「クローズド化」が進んでいます。水資源の節約や排水量の削減につながる一方で、同じ水を繰り返し使うことで、水中に溶けている成分が少しずつ濃縮されていきます。

成分が濃くなれば、それだけ溶解度を超えやすくなり、スケールが発生するリスクも高まります。環境への配慮から水の再利用を進める工場が増えている今こそ、スケール対策の重要性は一段と増しているといえるでしょう。

スケールの主な種類と発生メカニズム

ひとくちにスケールといっても、その成分によって発生しやすい条件や除去のしやすさは大きく異なります。ここでは、排水処理の現場でよく見られる代表的なスケールを紹介します。

炭酸カルシウム:もっとも一般的なスケール

炭酸カルシウムは、排水処理に限らず、さまざまな水まわりで見られるもっとも一般的なスケールです。水中のカルシウムイオンと炭酸水素イオンが、pHの上昇や温度の上昇をきっかけに結びつき、析出します。

温度が上がると水に溶けていた二酸化炭素が抜けやすくなり、その結果として炭酸カルシウムが析出しやすくなります。中和処理でアルカリ剤を加えた後や、加熱を伴う工程の後などは、とくに注意が必要です。

硫酸カルシウム:溶けにくく除去が難しい

硫酸カルシウムは、酸性の排水を中和する際などに硫酸を使用する工程で発生しやすいスケールです。いわゆる石膏の成分で、一度付着すると酸にも溶けにくく、除去が非常に難しいのが特徴です。

炭酸カルシウムのように酸で溶かして取り除くことができないため、発生させないための予防がとくに重要です。

シリカ系スケール:膜処理の濃縮水側で発生しやすい

シリカ系のスケールは、地下水を水源とする用水や排水に多く含まれるシリカが析出したものです。とくにRO膜(逆浸透膜)などの膜処理では、膜を通らなかった濃縮水の側でシリカが濃くなり、スケールが発生しやすくなります。

シリカスケールは非常に硬く、化学的にも安定しているため、一般的な酸洗浄では落とすことができません。膜の性能低下を招く大きな要因となるため、水質の管理が欠かせません。

リン酸カルシウム・ストルバイト(MAP):下水や食品排水で注意

下水や食品工場の排水処理では、リン酸カルシウムやストルバイトと呼ばれるスケールにも注意が必要です。ストルバイトはリン酸マグネシウムアンモニウム(MAP)とも呼ばれ、排水中のリン、アンモニア、マグネシウムが反応して硬い結晶をつくります。

とくに嫌気性処理を行う設備では、リンやアンモニアが多く含まれる水が生じやすく、配管やポンプのまわりでストルバイトが成長してトラブルになるケースがあります。

スケールを防ぐための3つのアプローチ

スケール対策の基本は、発生してから取り除くことよりも、まず発生させないことです。予防のための対策は、大きく3つに分けられます。

排水の性状に合わせて、これらを組み合わせることが効果的です。

1. 薬剤で結晶の成長を抑える

もっとも広く使われているのが、スケール分散剤(アンチスケラント)を注入する方法です。ポリカルボン酸系やホスホン酸系の薬剤を、数ppmから数十ppm程度という微量で添加します。

これらの薬剤は、結晶が大きく成長するのを妨げ、細かな粒子のまま水中に分散させる働きをします。結晶が配管や膜の表面にしっかりと固着する前に、水の流れとともに運び出せるようにするのがねらいです。

もうひとつの方法がpHの管理です。炭酸カルシウムやリン酸カルシウムは、酸性側で溶けやすくなる性質があります。そのため、酸を注入してpHを適正な弱酸性に保つことで、析出を抑えることができます。

ただし、pHを下げすぎると配管や機器の腐食につながるため、適切な範囲で管理することが大切です。

2. 運転条件と物理的な処理で付着を防ぐ

配管内の流れが遅いと、析出した結晶が壁面にとどまりやすくなり、スケールとして定着しやすくなります。

そのため、設計の段階で配管の口径や流量を適切に設定し、運転の際にも一定以上の流速を保つことが重要です。流れが滞りやすい箇所をつくらないことも、スケールの予防につながります。

また、高周波の電磁場や超音波を利用した物理的な処理装置が採用されることもあります。これらは、水中にあえて細かな結晶をつくらせることで、配管の壁面ではなく水の中で析出させ、壁面への付着を防ぐというしくみです。

析出した微細な結晶は、水の流れとともに回収・排出されます。

3. 前処理で原因となる成分を取り除く

スケールの原因となるカルシウムやシリカを、あらかじめ排水から取り除いておく方法もあります。消石灰やソーダ灰、マグネシウム剤などを加えて、原因成分を意図的に析出させ、凝集沈殿によって取り除くのです。これは軟水化処理とも呼ばれます。

後工程にRO膜などの膜処理がある場合や、水を繰り返し再利用する場合には、前処理でスケール成分を減らしておくことで、後段の水処理設備への負担を大きく軽減できます。スイレイでは、凝集沈殿の効率を高めた沈殿槽「スイレイシック」をはじめ、排水の性状に合わせた機器をご提案しています。

スケールが付着してしまったときの洗浄・除去方法

どれほど予防に努めても、長く運転を続けるうちにスケールが付着してしまうことはあります。その場合は、成長が進む前に速やかに取り除くことが大切です。

ここでは、代表的な洗浄・除去の方法を紹介します。

酸やアルカリによる化学洗浄

化学洗浄は、洗浄液を配管や機器の中に循環させて、スケールを溶かして取り除く方法です。設備を分解せずに行える洗浄方法はCIP(定置洗浄)とも呼ばれます。

炭酸カルシウムなどのスケールには、塩酸やクエン酸、スルファミン酸などの酸性の洗浄剤が使われます。一方、酸に溶けにくいシリカスケールには、フッ化水素酸や高温・高濃度のアルカリ剤が用いられることがあります。

スケールの成分によって有効な洗浄剤が異なるため、まずは付着物が何であるかを把握することが欠かせません。

ピグや高圧洗浄による機械的洗浄

化学洗浄で落としきれない硬いスケールや、厚く堆積したスケールには、機械的な洗浄が有効です。代表的なのが、ピグと呼ばれる弾性体を配管の中に圧送し、内壁のスケールを物理的に削り落とす方法です。

また、高圧洗浄車を使った超高圧のジェット洗浄も、配管や槽の内部に付着したスケールの除去に効果を発揮します。設備の状態やスケールの付き方に応じて、化学洗浄と機械的洗浄を使い分けることが大切です。

洗浄時に気をつけたい配管材質への影響

化学洗浄で注意したいのが、配管や機器の材質への影響です。強い酸やアルカリは、スケールを溶かす一方で、金属を腐食させたり、樹脂を劣化させたりするおそれがあります。

洗浄剤の種類や濃度、温度、洗浄時間は、配管の材質に合わせて慎重に選ぶ必要があります。また、強い薬品を扱うため、作業者の安全確保も欠かせません。

洗浄の計画は、水処理設備の構造や材質を把握したうえで立てることが重要です。

スイレイが考える、スケールに強い水処理設備づくり

スケール対策は、ひとつの技術だけで解決できるものではありません。排水の性状を正しく把握し、設計から運転、メンテナンスまでを一貫して考えることが、スケールに強い水処理設備づくりにつながります。

水質分析から始める対策の検討

効果的なスケール対策の第一歩は、排水の水質を正確に知ることです。カルシウム硬度やシリカ濃度、pH、温度などを把握することで、どのようなスケールが発生しやすいのか、どの対策が有効なのかが見えてきます。

スイレイでは、自社のラボで排水の水質分析や薬品の評価を行い、お客様の排水に合った処理方法や薬剤の選定を検討しています。

スケールの発生を見据えた水処理設備の設計

スケールの発生しやすさは、水処理設備の設計によっても大きく変わります。配管の口径や流速、薬品の注入位置、前処理の有無など、設計の段階でスケールのリスクを考慮しておくことで、運転開始後のトラブルを減らすことができます。

スイレイでは、お客様の排水の性状や運用の条件を踏まえ、長期的な安定稼働を見据えた水処理設備の設計を行っています。

定期点検で付着の兆候を早めにつかむ

スケールは、少しずつ成長していくものです。圧力の変化や処理水量の減少など、わずかな兆候に早めに気づくことができれば、大がかりな洗浄や部品交換が必要になる前に対処できます。

スイレイでは、定期点検を通じて水処理設備の状態を確認し、スケールの付着をはじめとするトラブルの予防に努めています。

まとめ:水質を知ることが、長期的な安定稼働への近道

排水処理におけるスケールは、処理能力の低下や設備の停止を招く、見過ごせない問題です。水の再利用が進む今、そのリスクはますます高まっています。

スケール対策には、薬剤による予防、運転条件の工夫、前処理による原因成分の除去、そして付着した場合の適切な洗浄など、さまざまな方法があります。

大切なのは、対象となる排水の水質を正確に把握し、それに合った対策を組み合わせることです。それが、水処理設備の長期的な安定稼働と、ライフサイクルコストの削減につながります。

スケールによるトラブルや水処理設備の運用にお悩みの際は、どうぞお気軽にスイレイへご相談ください。