インタビュー
2026.06.02
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スイレイお客様アンケートから見える、排水処理現場の実態と課題

スイレイお客様アンケートから見える、排水処理現場の実態と課題

排水処理設備の運用は、製造現場において欠かすことのできない業務のひとつです。法規制への対応、水質の維持、設備の点検など、担当者が日々向き合う課題は多岐にわたります。しかし、現場の実態が体系的に整理・共有される機会はそれほど多くありません。

株式会社スイレイでは、排水処理設備をご利用のお客様60社を対象にアンケートを実施しました。日常の運用体制から、現場で感じる不安、理想とする運用状態まで、幅広く現場の声を集めました。

今回は、そのアンケート結果をもとに、排水処理担当者が直面している課題と現場の実態を整理してお伝えします。同じ課題を抱える担当者の方々にとって、現状を振り返るひとつの参考になれば幸いです。

回答者の運用体制|「兼務」が現場の標準

まず、回答企業の排水処理設備の運用体制を尋ねました(Q1)。

最も多かった回答は「他業務と兼務」で、60社のうち実に8割以上を占めました。「専任担当」と回答したのはわずか10社にとどまり、排水処理業務を外注に委託している企業や、担当者を置かない企業も一定数ありました。

自由回答でも「片手間仕事なので大変」「他の飛び込み仕事が入って邪魔される」といった声が寄せられており、多くの担当者が排水処理を「本業のかたわら」でこなしているのが実態です。

専任の担当者が確保できていないということは、トラブルへの即時対応や日常点検の精度に影響が出やすいことを意味します。以降の設問で見えてくる課題の多くは、この「兼務」という構造的な背景と無関係ではないでしょう。

日常で気を使っていること|水質の変動がダントツ

「日常の運転で、特に気を使っている点は何ですか」という質問(Q2、複数回答可)では、「水質の変動」が回答企業の75%にあたる45社から挙げられ、ダントツでした。

次いで多かったのが「設備の異音・異臭」(26社)、「清掃・メンテナンス」(25社)、「薬品注入量の調整」(23社)、「計測値の信頼性」(20社)と続きます。

水質の変動は排水処理の根幹に関わる問題であり、気を使うのは当然ともいえます。

しかし注目したいのは、「薬品注入量の調整」が23社となっている点です。薬品の量が多すぎても少なすぎても水質に影響が出るため、適切なコントロールには経験と判断力が求められます。専任担当者が少ない環境では、このさじ加減の難しさがさらに負担として圧しかかります。

現場で起きていること|トラブルの頻度と実態

Q3では、運用中に起こりうる6つの事象について、それぞれの発生頻度を尋ねました。

「水質が安定しない」については、「よくある」が2社、「たまにある」が36社と、合計で半数以上の企業が何らかの頻度で経験していると回答しています。Q2で「水質の変動に気を使う」と答えた企業が多かったことと、一致しています。

「異常に気付くのが遅れる」については、「よくある」が4社、「たまにある」が22社。約半数が異常検知の遅れを経験していることになります。兼務担当者が多い環境では、常に設備を監視できるわけではなく、異常の発見が遅れやすい構造があります。

「原因が分からないトラブルが起きる」は「よくある」3社、「たまにある」24社。こちらも45%の企業が経験しており、自由回答でも「原因不明で管理数値を逸脱する」「いつもと違う挙動があったとき判断に迷う」といった声が複数みられました。

一方、「薬品量の調整が難しい」「担当者によって運用結果が変わる」「記録等が負担になっている」の3項目については、「ほとんどない」が多数を占めました。現場での工夫や習熟によって一定程度コントロールできている側面もあるようです。

不安と判断の迷い|「法規制」と「原因特定」が二大テーマ

「運用で不安を感じるのはどんな時ですか」(Q4、複数回答可)では、「法規制・基準値への適合」が約44社でトップ、続いて「トラブル発生時の原因特定」が約36社と、この2項目が突出していました。

法規制への適合は、排水処理担当者にとって最も避けられないプレッシャーです。基準値を超えた排水が発覚すれば、行政への報告義務が生じ、企業の信頼にも関わります。「排水の分析で亜鉛の値が基準を大きく超えた時」「放流水の亜鉛基準値超過で設備内循環がトラブった」など、具体的な経験が複数の企業から寄せられています。

トラブル時の原因特定も大きな不安要素です。何かが起きたとき、その原因が設備にあるのか、薬品にあるのか、はたまた外部からの異常排水によるものなのかを切り分けるのは、専門知識がなければ容易ではありません。

「いつもと違う挙動があったとき」に判断に迷うという声(Q5)も多く、日常業務の中で「何かおかしい」という感覚をどう処理すればいいか、迷ってしまう担当者が少なくないことが伺えます。

投資するなら何を重視するか|「安定性・信頼性」が最優先

「運用改善のために投資するとしたら、重要な点は何ですか(上位3つ)」(Q6)という設問では、選択肢ごとの順位集計から「安定性・信頼性」と「ランニングコスト」が上位に入る企業が多い結果となりました。

コストよりも「安定して動き続けること」を重視する傾向が読み取れます。これは、設備が止まることによる生産への影響や、法規制違反のリスクを考えれば自然な優先順位といえます。「ランニングコストを抑えて良好な水質維持を行いたい」という声もあり、コスト意識がないわけではないものの、まずは「安定して動くこと」が前提にあるようです。

一方、「省人化」や「データ管理・見える化」は相対的に優先度が低い傾向がありましたが、Q8の理想状態の回答(後述)を見ると、無人化・自動化への潜在的な期待は決して小さくありません。「現状では予算がつきにくい」という現実的な事情が影響している可能性があります。

省きたい作業と、理想の運用状態

「手間がかかる・省けたら助かる作業はありますか」(Q7、複数回答可)では、「トラブル時の原因確認」と「日々の点検」が上位に挙がりました。続いて「薬品管理」「数値記録・整理」「引継ぎ・教育」といった作業も多くの企業から挙げられています。

「排水処理の運用が理想的だと感じる状態はどんな状態ですか」(Q8)では、自由回答ながら傾向が明確に出ました。

・無人化
・全自動
・何も触らなくていい
・人はチェックのみで介入不要
など、こうした表現が複数の企業から寄せられており、担当者の理想が「手がかからない状態」に集約されていることが分かります。

具体的には「離れていても状態変化が分かるシステム(スマホ確認)」「設定値を外れたら自動で再処理」「日常確認を必要としない」といった言葉も見られました。現状の運用負荷が大きいだけに、テクノロジーへの期待は高いといえます。

現場の生の声|ヒヤッとした経験と独自の工夫

Q9では「これまでに運用していて『ヒヤッとした』『困った』経験」を自由回答で募りました。複数の企業から寄せられた事例から、いくつかをご紹介します。

・計測器の故障により薬品が異常投入されてしまった
・満水センサーの不良による屋内漏洩
・ホースや配管の破損による漏水(夜間・連休中を含む)
・樹脂塔の割れや塩ビ配管の破損
・設備老朽化による部品故障と、予備部品がなかった状況

共通していえるのは、「気づいたときには手遅れになりかけていた」というパターンです。センサー類の不具合や突発的な機械トラブルが、二次被害(漏洩・溢れ・基準値超過)につながるケースが目立ちます。

一方、Q10「安定運用のために現場で独自に工夫していること」では、こんな声が寄せられています。

・定期的な電極の洗浄・センサー校正の自前化
・故障した際に応急処置で稼働できるよう簡易ポンプを用意
・薬品の種類を増やして安定化を図る
・日常点検項目を充実させ、異常の早期発見に努める

それぞれの現場で、担当者が試行錯誤しながら安定運用を維持しようとしている様子が伝わってきます。マニュアルには載っていない「現場知」が、日々の安定を支えているといえるでしょう。

まとめ

今回のアンケートを通じて、60社の現場に共通する課題の輪郭が浮かび上がりました。

多くの企業で排水処理は兼務体制で運営されており、それが異常検知の遅れやトラブル対応の困難に直結しています。日常的には水質の変動と薬品管理に気を使いながら、「法規制・基準値への適合」という避けられないプレッシャーの中で業務をこなしているのが現実です。トラブルが起きたときの原因特定の難しさも、多くの担当者に共通する悩みでした。

そして担当者の理想として共通して聞こえてきたのは、「安定して動いていてほしい」「手がかからない状態にしたい」という声です。設備の老朽化という問題も重なり、排水処理の現場は人手・技術・設備の面で、静かに課題を積み重ねています。

株式会社スイレイは、水処理設備の定期点検から改良・更新まで一貫して対応する専門企業です。常時約100社の定期点検を請け負い、現場に密着したメンテナンスサービスを提供しています。

「水質が安定しない」「トラブルの原因が分からない」「担当者が不在でも安心したい」そんなお悩みをお持ちの場合は、ぜひお気軽にご相談ください。現場の状況に合わせた最適なご提案をいたします。