水処理設備における液面計の種類と選定ポイント:フロート式・圧力式・超音波式・電極式を徹底解説
水処理設備において、液面計はタンクや槽の液位を正確に把握するための重要な計装機器です。
液面が正しく測れていないと、ポンプの空運転・タンクのオーバーフロー・薬品の過不足といったトラブルに直結します。液面計にはいくつかの種類があり、使用する液体の性状や設置環境によって適切な方式が異なります。
今回は、水処理設備でよく使用される4種類の液面計の特徴と、選定ポイントをわかりやすく解説します。
液面計とは:水処理設備における役割
液面計とは、タンクや槽の中にどれくらいの液体が入っているか(液位)を測定する機器です。シンプルな機器のように見えますが、水処理設備の安定運転を支える計装機器のひとつとして、非常に重要な役割を担っています。
水処理設備における液面計の主な役割は3つあります。
1.ポンプの自動運転制御
タンクの液位に応じてポンプの起動・停止を自動制御することで、液位が下がりすぎてポンプが空運転してしまうのを防ぎます。空運転はポンプの損傷につながるため、液面計による正確な液位検知が不可欠です。
2.タンクのオーバーフロー防止
液位が上限を超えると、薬液や汚染水が設備外に溢れ出すリスクがあります。液面計による上限アラートや自動停止制御によって、こうした事態を未然に防ぐことができます。
3.薬品管理
薬品タンクの残量を液面計で把握することで、薬品切れによる処理不良や、過剰補充によるコストロスを防ぐことができます。特に無人運転や夜間運転が多い設備では、液面計による遠隔監視が重要になります。
液面計が正常に機能していない設備では、これらのトラブルが突然発生するリスクが高まります。適切な種類の液面計を選定し、正しく設置・管理することが、設備全体の安定運転の基盤となります。
液面計の種類と特徴
水処理設備でよく使用される液面計には、大きく4つの方式があります。それぞれ測定原理・特徴・適した用途が異なるため、使用環境に応じた選定が重要です。
フロート式(浮き式)
フロート式は、液体に浮かぶフロート(浮き)の位置で液面を検知する方式です。液位が上がればフロートも上がり、下がればフロートも下がるという、いたってシンプルな原理で動作します。構造がシンプルなため製造コストが低く、水処理設備の中で最も広く使われている液面計です。
フロート式にはさまざまなタイプがあり、フロートの上下動をリードスイッチで検知してON/OFF信号を出力するもの、フロートの位置をアナログ信号に変換して連続的に液位を計測するものなど、用途に応じて選べます。
【特徴】
・構造がシンプルで低コスト・信頼性が高い
・連続計測・ON/OFF制御の両方に対応できる
・メンテナンスが比較的容易
・汚れ・スカム・スラッジが多い液体ではフロートが汚れて動きが悪くなることがある
・泡立ちが多い液体では誤検知が起きやすい
注意:凝集沈殿処理後のスラッジが多い槽や、汚泥濃縮槽など固形物が多い環境では、フロートに汚れが付着して動作不良を起こすケースがあります。定期的な清掃と動作確認が必要です。
圧力式(水位圧式)
圧力式は、液体の深さによって生じる水圧を測定し、液位を算出する方式です。液柱の圧力は液体の密度と深さに比例するため、圧力センサーで測定した圧力値から液位を連続的に計算できます。
深いタンク・地下ピット・大型貯水槽など、フロート式の設置が難しい環境での使用に適しています。センサーを液中に沈めるだけで計測できるため、設置がシンプルな点も特徴です。
【特徴】
・深いタンク・地下ピットでも安定した連続計測が可能
・フロートのような可動部がないため機械的なトラブルが少ない
・液面の揺れや泡の影響を受けにくい
・センサーの導圧口が詰まると測定値にズレが生じる(ドリフト)
・腐食性の高い液体ではセンサー素材の選定に注意が必要
超音波式
超音波式は、センサーから液面に向けて超音波を発信し、液面で反射して戻ってくるまでの時間を計測することで液位を算出する方式です。センサーが液体に直接触れない非接触計測が最大の特徴で、腐食性の高い薬液タンクや汚れの多い槽での使用に適しています。
スイレイでは原水槽をはじめとする各槽に超音波式液面計を採用し、集中制御盤で全槽の液量・液面を一元管理する設計を実践しています。非接触であるため、メンテナンス頻度を低く抑えられることも、運用面での大きなメリットです。
【特徴】
・非接触計測のため、腐食性液体・汚れの多い液体に強い
・可動部がなくメンテナンス頻度を抑えやすい
・連続計測が可能で、遠隔監視システムとの連携もしやすい
・液面の泡・蒸気・粉塵が多い環境では超音波が乱反射して誤計測が起きやすい
・屋外設置では風の影響を受けることがある
電極式
電極式は、電極が液体に触れることで生じる電気的変化(導電性)を利用して液面を検知する方式です。液位がある電極の高さに達すると回路が導通し、ON/OFF信号を出力します。
シンプルな構造で確実な検知ができるため、ポンプの自動起動・停止制御や、上限・下限アラートの用途でよく使用されます。
【特徴】
・シンプルな構造で確実なON/OFF検知が可能
・コストが低く、設置・配線が容易
・複数の電極を設置することで多点の液位検知ができる
・導電性のない液体(純水・油など)には使用できない
・電極に汚れやスケールが付着すると誤動作の原因になる
注意:純水や超純水は導電率が非常に低いため、電極式液面計は使用できません。純水設備では超音波式やフロート式など、導電性に依存しない方式を選定する必要があります。
液面計の選定ポイント
液面計はどれでもよいわけではなく、使用環境・液質・用途に応じた適切な選定が重要です。選定時に考慮すべき主なポイントは以下のとおりです。
液体の性状
液体の汚れ・泡立ち・腐食性・導電性によって、適した液面計の方式が大きく変わります。汚れやスカムが多い液体ではフロート式は詰まりやすく、超音波式の非接触計測が有利です。
腐食性が高い薬液タンクでも、超音波式や圧力式(耐腐食性センサー)が適しています。純水・油など導電性のない液体には電極式は使用できません。
設置環境
屋外設置・狭所・高湿度・高温環境など、設置場所の条件によっても選定が変わります。屋外設置では風や温度変化の影響を受けやすい超音波式の精度が落ちる場合があります。地下ピットや深いタンクでは、圧力式が安定した計測を提供します。
測定精度と制御方式
単純なON/OFF制御(上限・下限アラームのみ)であれば、フロート式や電極式で十分対応できます。一方、液位を連続的にモニタリングしたい場合や、薬品残量を正確に管理したい場合は、連続計測が可能な超音波式や圧力式が適しています。
メンテナンス性
可動部のあるフロート式は定期的な清掃・動作確認が必要です。非接触の超音波式はメンテナンス頻度を低く抑えやすいですが、センサー面の汚れ確認は必要です。
電極式は電極の清掃・スケール除去を定期的に行うことで安定した動作を維持できます。設備全体のメンテナンス計画に合わせて、液面計の方式を選定することも重要な視点です。
まとめ
水処理設備における液面計は、ポンプ保護・オーバーフロー防止・薬品管理という重要な役割を担う計装機器です。
フロート式・圧力式・超音波式・電極式の4種類にはそれぞれ異なる特徴と得意な用途があり、液体の性状・設置環境・測定精度・メンテナンス性を考慮した選定が安定運転につながります。
液面計の選定や設備のメンテナンスについてお困りのことがあれば、お気軽にスイレイへご相談ください。