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2026.06.02
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排水処理設備の低資源での運営方法のすすめ

排水処理設備の低資源での運営方法のすすめ

気候変動による水不足や、産業活動の拡大による水質汚染。私たちの生活や経済を支えるうえで、「安全で持続可能な水の循環」は避けて通れないテーマとなりました。さらに、世界情勢等の影響による安定的な物資調達が困難になる可能性があること、価格変動が激しくなる可能性があることを踏まえ、排水処理設備の低資源運営方法を短期的、長期的な時間軸でまとめてみたいと思います。

1.日々の予防保全管理の強化をする

排水処理設備は常に、正しく機能していることが求められます。
そのためにもトラブルなどによる機能不全を未然に防ぐ、予防保全の観点から排水処理設備を管理していくことは非常に重要となります。予防保全管理とは、言葉で表現すると難しく考えてしまうかもしれませんが、ニュアンスとしては日常の掃除や整理整頓にあたります。

1. 電極の洗浄及び校正作業です。
PHやORP等の電極は、排水処理を行う上で要となる存在です。日々使用していくことで汚れ等が付着し汚染されると正確な値を示すことができなくなるため、定期的な洗浄や校正による数値の補正を行っていくことが重要です。

2. 各機器や消耗品を伴う装置から成り立っており、それぞれ使用年数があります。
日々の確認の中で、各機器類の動作音や振動等にも意識を向けて頂き、少しでもいつもと異なる状況を確認したら、交換・修理等の計画を立ててください。物品の中には、納期のかかるものも存在します。そのようなものを事前に確認、リストアップし、事前に
予備品として持っておくことも排水処理設備の安定運営のために重要なポイントです。

3. その他、フィルターや膜、ろ過材、なども使用していくうちに消耗していきます。
経験則等で機能や水質に問題ないからと限度を超えて使用していくと急激に機能が失われ正常な処理ができなくなる恐れがあります。それぞれ定められた交換周期が存在するため、その周期に合わせて定期的に交換を行っていくことが非常に重要です。

この様に日々の適切な管理を通して、違和感があればその対処に向けて準備をしていく、これが安定的な排水処理設備を運営していく上での重要な予防保全管理の考え方となります。

2.原水濃度を定期的に調査し、最適な薬品注入量を適時調整する

一般的な排水処理運営において、原水濃度変動を加味して薬品の注入量は多めに設定されています。排水処理場へ流入される原水はライン稼働状況により午前・午後の時間帯、曜日、月ごとで水質が大きく異なります。この水質を吸収し、処理設備の処理水質を安定させる為、薬品注入量は多めに設定されます。こうする事で原水濃度が多少高い場合でも反応が集結されるため、設備は正常に稼働します。しかし濃度が通常よりも低い場合は、薬品注入量が多くなり、PH調整がうまくいかなかったり、薬品の過剰注入となり無駄が生じます。

原水の流入量、濃度に応じた最適な薬品注入量を調整する方法は、
1.ライン作業量に応じてライン内の水洗槽への流入量を調整する。
2.ラインからの排水を貯める貯槽をできる限り大きくし、濃度の均一化を行い、その濃度で薬品注入量を決める。

各反応槽の滞留時間は約15分から20分ぐらいで設計してあるので、5~10分ぐらいで反応が完了する様、ポンプ流量を調整します。また薬注ポンプはマグネットポンプよりダイヤフラムポンプの方が調整しやすく、配管ポンプが停止してから配管内の残液が少なくなるように、例えばサイフォンブレーカーの配管とすれば薬品は少なく済みます。

3.緊急用のストック槽を設けておく

緊急用のストック槽を設ける考え方として、

1. 排水処理設備で処理できない水質、水量がライン側のトラブル等で発生した場合の一時ストック槽
2. ライン側で濃度の高い廃液を出した場合、一時的にストックする為の貯槽
3. 排水処理場で何らかのトラブルで排水が処理できず、処理後に放流すると問題が発生する排水をストックする為の貯槽
4. 薬品溶解の時、水道バルブの締め忘れなどにより、濃厚な薬品が流れた場合に一時的に ストックする為の貯槽
5. ラインから流出する原水量が一時的に多くなったり、濃度が高くなったり、排水側で処理できない場合に一時的にストックする為の貯槽
6. 排水処理設備が部品交換等で一時的に運営ができなくなった時、ストックする為の貯槽
7. その他地震等の天災で排水が漏れた時など

貯槽の大きさは何の目的でどれだけ発生するかで決まるため一般的には難しく、目安案として、以下を考えます。

1. 1時間あたりの排水量の2~4倍の貯槽
5㎥/Hであれば10~20㎥槽
2. 排水処理場内で一番大きなタンク容量を受けれる貯槽
例)沈殿槽が20㎥であれば20㎥槽
3. 排水設備が故障し、修繕できるその時間内に流れる排水を受ける貯槽
5㎥/H×修繕時間内2Hであれば、10m³槽以上

4.製造ライン側に回収槽を設けておく

回収槽を設ける利点は下記理由です。
1. 回収槽を設けることによりない時に比べると給水量が少なくなる
2. 本槽での蒸発減少分を回収槽から補給することにより、本槽の薬品の補給量が少なくなる事
3. 回収槽の液がある程度濃度が高くなったら、その回収液を減圧濃縮機等で濃縮することにより、薬品が回収できます。

5.設備更新時にはリサイクルシステム設計を検討する

なぜ無排水処理システムを選ぶのか?

無排水処理設備は、放流型と比べて設備コスト・ランニングコスト・メンテナンスコストのいずれも高くなります。設置面積も広く、建屋内設置が一般的で、運用に専門的な人材も必要です、それでも採用される理由は、主に以下の4つです。

1.有害物質による環境リスクの根絶
カドミウム・シアン・六価クロムなどの有害物質を扱う工場では、放流型設備でも排出基準まで処理が出来ます。
しかし、工程内トラブルや人為的なミスによって廃液が漏出した場合、復旧対応・生産停止・近隣環境への影響という深刻な事態が生じます。無排水システムはこうしたリスクがなくなります。

2.許認可取得の迅速化
放流型設備では、役所の許認可や地域住民の同意取得に時間がかかり、生産計画に影響が出るケースがあります。
無排水処理設備であれば、放流型と比べて許認可を早期に取得できる場合があります。

3.工業用水の制約への対応
新設工場が立地する工業団地で工業用水の給水量に制限がある場合、水回収リサイクルが事実上必要となります。無排水システムはこの要件を満たす有効な手段です。

4.放流先がない・下水道放流が出来ない立地
処理水を流す河川・海域がなく自費で放流管を整備しなければならない場合、あるいは近隣の下水道管が生活排水専用で工場排水を受け入れられない場合、無排水システムが現実的な選択肢となります。
なお、すべての排水を無排水処理とするケースばかりではありません。有害物質を含む排水のみ無排水処理とし、有害物質を含まない排水は下水・河川に放流する企業もあります。
また、放流量を削減する目的でRO装置やイオン交換設備を組み合わせた部分的な水回収を行う場合もあります。工場の実情に合わせた柔軟な設計が求められます。